続・紙芝居一家の物語

今日は、初めての場所で紙芝居を演ろうと向かったら一人の少年が「紙芝居って何」と聞いてきた。

では、紙芝居の原点の黄金バットをと演り始めた。

一方、文吉の家では紙芝居の仲間が集まって紙芝居をいかに工夫してお客を取り込むか、皆んなで考えていた。

では手品を入れてみよう。

奥さん連中も参加したり

そこに主の文吉が帰ってきた。
女優の娘の春 「お父ちゃん、今度視聴率のある歌謡バラエティに私ゲスト出演する事になったのよ」
仲間の皆んな大喜び。

「これから制作会社に打ち合わせに行ってくるわ」

「お父ちゃんの文吉さんも一緒にださせてもらったら」

「バカヤロウ、そんなこと出来る訳がねえだろう!」

「一度紙芝居屋をやめた俺たち夫婦も又、仲間に入れてくれ」

「手始めに俺は紙芝居に落語を入れてみたいんだ」

「そりぁだめだよ、落語と紙芝居は同一だ」

「そんな事はねえよ」 喧嘩が始る。

「オイ、皆、帰ろう、帰ろう」 喧嘩分かれ

「親方、お酒の呑みすぎですよ」

「親方、実は私、娘の春さんと常々一緒になりたいと思っているんです。

ねぇ、親方、一つお力になっていただきたいのです。」

「なに、春と一緒になりてえバカヤロウ、てめえは他人の気持ちも分からず自分本位なんだ!」

「親方だって自分本位じゃないですか、

娘の春さんは4歳の時に別れた実のお母さんに会いたいのに親方はそういう春さんの気持ちも分からない、

育ての親のエゴそのものなんですよ」

「そうだったのか、やはり春は生みの母親に会いたかったのか」

文吉は八方手をつくしてようやく春の実の母を見つけ出し、春の気持ちを伝えるのだった。
実の母は突然の事に嬉し泣き。

そこに職場の同僚が、びっくり

一方こちらは制作会社
「お願いします、私の父は紙芝居屋なんです。父も私と一緒にテレビに出演出来ないでしょうか」
「紙芝居との共演か、それは面白いなぁ」

そこに現れた大女優

「ばか言ってんじゃないわよ、そんなのやめなさい、紙芝居の代わりに私が出演するわ」

「実は春、お前の本当のお母さんが家に来ているんだ」

「あなたが私の実のお母さん」

春のマネージャー

「文吉さん、あなたの出演は取りやめよ、春さんはその事は知らないの」

テレビの本番の日

「春、俺は後からかならず行くから先に行ってくれ」

「父ちゃん、かならず来てよ」

「春、俺はテレビには出れねえらしいよ、だから行ってもしょうがねえや、

実はな、俺はお前には言わなかったけど末期ガンなんだ、

本当はテレビにお前と一緒に出たかったぜ」

「本番なのに、なんでお父ちゃん来なかったの」

路上に紙芝居の自転車ともども文吉は倒れこむのだった。

そんな事は知らない娘の春は、生のテレビで熱演をするのだった。

春らんまんと云う大きな女優の誕生である。


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