一人の女性(瞳)が、目的もなく旅をしている。
ふと自分の子供の頃を想い出す。
寒いある日、母は私の為に手袋を編んでくれた。
お母さんの肩を叩くのが日課だった。
友達は何時も楽しく遊んでいる。
♪ カゴメ・カゴメ・駕篭のなかの鳥は♪
私はそれを何時も見ているだけ・・・。
どうして輪に入れてくれないのだろう。
一人の男の子が私に突然プレゼントをくれた。
でも、他の女の子(ジュン)が男の子を連れて行ってしまった。
一人で居る私を仕事帰りのおじいちゃんが愛しく連れて帰ってくれる。
そんなある日、お母さんが家を出て行ってしまった。私を置いて!
おばあちゃんがそんな私を慰めてくれた。なんでかなぁ?
あぁ、父が病に倒れてしまった。
大人になった私は、あの時の彼と恋に落ちる。
だが彼はフラメンコの歌の名手に成るためにスペインへ、
5年後は必ず帰ってくると約束をしたのだが・・・。
私はその言葉を信じています。
恋敵のジュンがフラメンコの踊りを習い始めた。
急にナゼ?
おじいちゃん、おばあちゃんにスペインに行きたいと懇願した。
「お前のお母さんも今のお前の様に、自分の我がままで出て行ったんだよ。
しかし今は新橋の場末で歌ってるんだ。」
おじいちゃん!
私お母さんに逢いたい。東京に行かせて
ジュンは彼とフラメンコの舞台に立っていた。
都会の街・新橋はペテン師が誰かを狙っている。
「あら、素敵なお嬢さん、ちょっとお茶でもいかが?」
あやうく瞳はバッグを盗まれそうになる。
田舎者の瞳は東京の恐ろしさを知った。
失望の中に、ジュンと彼が可愛い女の子を連れて通り過ぎる。
20年前に別れた母が場末でシャンソンを歌う。
母を訪ねて再開を果たすのだが母は別の家庭があった。
「お母さん覚えていますか、私の為に編んでくれたこの手袋・・・」
母と別れて故郷を想い出す、あの優しかったおじいちゃん、おばあちゃん。
人生に失望した瞳は・・・
たった一枚の母の写真をそっと破り捨てる。
そして新たな道を求めて茜色の空の下、再びの旅立ち。
完